好きなことば

29 Jun

日本語の中に好きなことばがありますか。

私は「迎えに行く」「お迎え」ということばが好きです。英語では’meet’, ‘see’, ‘pick someone up’、とても日常的でシンプルな言葉ですが、私にとっては「会う」という意味以上のものが感じられるのです。

私はこどものとき、幼稚園ではなく保育所に行っていました。両親ともに働いていたからです。保育所の「お迎え」はいつも最後のほうでした。一人、また一人と友達が帰って行くときのさみしさ、心細さ。すっかり暗くなった外の風景もいっそう私を不安にさせました。そんなときに「お母さんが、お迎えに来たよ!」という先生の声。「お迎え」は何よりもステキでハッピーな言葉として幼い私にインプットされたと思います。

大人になってからは、男の人の「迎えに行くよ」が私にとっては強力なフレーズになりました。「好き」とか「愛している」なんて言葉よりうれしい。なぜなら、そこには優越感があるからです。つまり、私は待っているだけで、相手の方が来てくれる、立場としたら私が上です。まさにお姫様気分を味わえるのが「迎えに行く」のパワーです。

ここに5年前に92歳で亡くなった祖母の日記があります。祖母は、30年以上も前に亡くなった祖父へ向けて、何度も同じメッセージを書いていました。

「お父さん、早く迎えに来てください」

私はいま「お迎え」の、もう一つの意味を知りました。お迎えが来る、ということは、十分に生きたからこの世を去ることを許されたということです。「お迎え」には、たくさんの愛や優しさが含まれていると感じます。やっぱり「お迎え」という言葉が私は好きです。

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